「愛を受け入れて貰えれば」
エリックが起き上がったと思った瞬間、二度目の攻撃が彼を襲った。
流石に二発目は相当効いたらしく、倒れたと同時に気絶してしまう。
更に白目をむき口は半開きで、半分魂が抜けていた。
「大丈夫ですか?」
「すぐに、復活すると思うよ。それよりも、フリムが言ったように好き嫌いはいけないからね」
エリックによって話が横に逸らされたと思っていたエリザであったが、そうはいかない。
まさか創造主に好き嫌いを修正されるとは予想もできず、サンドイッチを持つ手が小刻みに震える。
その直され方も半端ではない。エリザに向けられた漂う無言のプレッシャーが全身に突き刺さり、こうなったら何がなんでも食べるしかない。
エリザは頷くと意を決し、サンドイッチを頬張った。
頑張る姿にユーリッドは拍手を送り、フリムカーシは袖口を口許に当て笑っていた。
「食べて当然」と言っているのだろう、口の中に広がるキュウリの食感にエリザは泣きそうだった。
「偉い。この調子で、全ての好き嫌いを直していこう。さて、いつまで寝ているのですか? いい加減に、起きてください」
「酷いな、今まで無視するなんて」
復活を果たしてエリックは、地面に横になりならいじける。
「いい大人が」と思われるが、このままにしておくわけにはいかない。
ユーリッドは彼を無理に起こすと、異端審問官の服について尋ねた。
「えー! 聞いてくれなかったじゃないか」
「あら、わたくしが聞きたいのよ」
「わかりました」
フリムカーシの言葉に鼻の下を伸ばしながら、どのようにして異端審問官の服を手に入れたか話していく。
説明は一言で済み、彼の最強にして最悪な武器を審問官の目の前で使用したのだ。
(うわ、可哀想……)
いくら相手が聖職者とはいえ、同情してしまう。
あれを至近距離で聞いたら気絶どころか、失神してしまう。
幸い命が奪われる心配はないが、下手したら後遺症に苦しんでしまう。
また、耳を疑う言葉であったが、どうやらエリックは裁縫の腕前を持つようだ。
一生懸命に審問官の服を繕う姿を想像してしまったユーリッドは、思わず噴出してしまう。
それに対してエリックは渋い表情を作るも、フリムカーシの甘い囁きに満面の笑みを浮かべていた。


