――このまま、ずっと話していたい。
だが、物事の結末は必ず訪れる。
所詮、相手は人間ではなくこの世界の創造主。
そして、エリザは人間。
その差は、大きかった。
◇◆◇◆◇◆
どれくらい、時間が経過した頃だろう。
人間の気配を感じ取ったユーリッドは徐に立ち上がると視線を遠くに向け、此方に向かって来る人物を出迎える。
その瞬間、白銀の髪が青色に変化していく。
エリザは眺めるように見詰めていると、草を踏み締める音が止まった。
反射的に視線を其方に向けると、言葉を失い息を飲む。
相手が着ている服は、何と異端審問官が纏っている物だったのだ。
「何だよ、その服装は」
「あれ? 忘れてしまったのかな。これは異端審問官の物に決まっているじゃないか、ユー君」
馴れ馴れしく「ユー君」と呼ぶエリックに、エリザは唖然となる。
「ユー君」と呼んでいる相手は、世界を含めあらゆる生き物を生み出した創造主。
それを愛称で呼ぶとは命知らず。
呼びに行ったフリムカーシの姿が何処にもないが、かなり怒っていることは間違いない。
無知とは、何とも恐ろしいものか。
エリックの行動に自分の悪い一面を見出したエリザは、背中に冷たい物が流れ落ちる感じがした。
流石に愛称で呼ぶことはなかったが、数々の無礼な行為。
命があっただけ、有難いと思うしかない。それに、下手したら精霊が許さない。
「街は、騒がしいんだよ。だから、この姿の方が動きやすい。ねえ、似合っているだろ。どうかな?」
「ええ、似合っていると思います。で、その服を何処で調達したかは、聞かないことにしておきます」
「できたら、聞いてほしかった。どうだ! 少しサイズが大きかったけど、繕い直したんだよ。聖職者っていい物を食べているのか知らないけど、腹とケツが大きくて困る。いやー、困った困った。美味しいものを食べているのなら、庶民に分け与えて欲しいものだよ……全く」
艶かしく身体をクネクネと動かし、ユーリッドに自身が着ている服装を見せ付ける。
その何とも言えない怪しい行動に、エリザは渋い表情を浮かべ横を向いてしまう。
このまま見続けていると気持ち悪くなってしまい精神面にダメージを負い、尚且つ生命力を吸われる勢いがあった。


