「本当に申し訳ありません」 光森監督の部屋の前で、名取さんと一緒に頭を下げる。 監督は困ったような顔をして、寝起きの頭を少しかいた。 それから 「まいったなぁ」 と、腕を組んだ。 「午後までには、はれは引くと思うんです。ですから、午後からの撮影は大丈夫だと思うんですけど……」 名取さんが申し訳なさそうに言うと、監督が 「午前中の撮影は中止するしかないよなぁ、その顔じゃあ」 と、渋い顔でうなずいた。