だいぶお腹が目立ってきて、もう6ヶ月目に入っていた。
「苦しい。」
最近はワンピースしか着ていない。
それ以外は着れないのだろう。
「さりちゃん。おいで。」
ソファーの前にあるガラスの机に色づいた青いグラスを置いた。
ガラスとガラスのぶつかる音が優しい耳に響く。
「お酒くさい。」
「まだ一杯しか飲んでません。」
「芋焼酎匂い強いんだもん。」
僕の腕の中に収まり、無邪気にはしゃいでいる。
お腹をさすって、何度も何度も話し掛けた。
「男だったら祥吾にしよう。」
「え?じゃあ女の子だったらゆかりとかそんなパターン?」
さりちゃんがまた僕の右手に目を走らせたのがわかった。
「そんなパターンじゃない!女の子だったら、星空って書いてせいらにしよう。」
「星空でせいら?超ロマンチスト!」
声をあげて笑うさりちゃんを強く抱き締めた。
「僕たちの子どもが男の子だったら絶対祥吾ってつけて世界で一番幸せな子にしよう。榎本祥吾は何年も頑張って生き抜いたって証を残そう。」
「何言ってるの?まだ祥ちゃんは生きてるじゃん。」
「体に負担になるようだったら僕に八つ当たりでもなんでもしてくれ。」
「え?」
「祥吾はもうもって3カ月を切った。」
僕の腕に包まれているさりちゃんが小さくなっていくのが分かる。
気が抜けている。
魂が抜けているみたいだ。


