君想い【完】


「あら?旦那さんのお迎え?」

「へへ。今日は違うんです。」

「榎本さんのお見舞?」

「それも違います。診察に来たんです!ね?純。」


走り回ったせいで息が上手く続かない。

会話に入る事が出来なかった。


質問したい事があるのに聞けないまま、
息を切らしていた。


「ちょっと医師!病院内走らないで下さい!」


僕の後を追ってきた看護士が大きな声を上げていたが、
僕はただ頭を下げることしか出来なかった。


僕の背中をさすりながら、僕の顔をのぞき込んできた。


「大丈夫?」


走って乱れた白衣の襟を直し、
さりちゃんの頬に手を当てた。


「どうしたの?今診察してるって聞いて。」

「診察中だったんでしょ?」

「今変わってもらった!どうしたの?」


さりちゃんは3本指を突きだして
にこりと笑った。


「3ヶ月だって!」

「うそ?」

「なんか全然2人とも気が付かなかったけど出来てたみたい。」


籍を入れて、式を挙げてから1年後の意外な報告だった。


「祥ちゃんにも報告してくる!」