君想い【完】



「遅い!」

ゆかの手で光る指輪を眺めながら
昨日の事を思い出していると
すでに病院に着いていた。

さりちゃんの声でやっと現実に戻ったようだ。


「祥吾ー!ケーキだぞー!」


トシはケーキの入った箱を振り回して、香代に怒られていた。


「聞いて!俺と香代、専門決まったの!」

「すごい!良かったね!祥ちゃんもきっと喜んでるよ!」


ベットの反対側には大きなお腹を抱えて、
舞ちゃんが座っていた。


「もうだいぶ大きいね。」

「あと2が月後には生まれるんで。」

「早いね。」


僕は壁を背もたれにして、笑顔の溢れる病室を眺めていた。


「遅いな。」

「誰?」


ものすごい足音が廊下で鳴っている。

看護士さんが怒る声がここまで響いてくる。


「遅くなった!」

「麗!!」


思わず4人で声を揃えてしまった。
病室のドアを開け、顔を出したのは麗だった。


「ちょっと学校来てよ!」

「ごめんごめん。ゆかりプリント出しといてくれた?」

今ゆかと麗は同じクラスらしい。
出席日数の危ない麗をいつもゆかは心配していた。


長いロングコートを脱ぎ、
麗は息を整えていた。

黒いスーツが相変わらず似合う。


少し会わないうちにまた一段と大人っぽくなっていた。