「いつまでも、純を想う気持ちは忘れない。おばあちゃんになっても純に恋をするわ。」
「僕も忘れないよ。ゆかを想うことを。形にはもう出来ないけど、忘れない。」
ゆかの手を取り、右手を広げた。
薬指に優しくはめ込む0.01カラットの小さなダイヤの入ったピンクゴールドの指輪。
ゆかが箱を手に取り、もう一つのシルバーゴールドの同じ指輪を僕の右手の薬指にはめていく。
今日お互いすべてを話す事を決めて買いに行った指輪。
お互いが想っていることを、
忘れない事を記すための指輪。
「この指輪を理解してくれる人じゃないとゆか結婚しない!」
「そんな人相当いないと思うけど。」
「さりなちゃんは絶対理解してくれるもんね。いーなー。」
カップルなら、指輪の裏に名前を彫るだろう。
でも僕たちは違う文字を彫った。
ゆかの指輪には
Memento:J
僕の指輪には
Memento:Y
と彫った。
「純、さりなちゃんを愛してる?」
「もちろん。この世で一番大切にしたい人だ。」
「良かった。ありがとう、純。」
Mementoは忘れ形見。
忘れ形見は忘れないための記念の品という意味。
この指輪にぴったりだ。
最後にゆかが背伸びをして、
僕にそっと口づけをした。
冷たいゆかの唇が
僕の少し荒れた唇にそっと重なった。
「帰ろう。」
「うん。」
前なら冷えた手を繋いで暖めていた。
でもその手をポッケにしまい込み、
少し距離をとる。
分かっていた状況に
2人で眉を潜めた。


