君想い【完】



昨日、僕とゆかは予備校帰りに思い出の詰まった中学校に足を踏み入れた。


「なんかこんな感じだったけ?」

「こんなもんだったでしょ。屋上行こうよ!」


職員室で先生たちに挨拶をして、
校内見学の許可を貰った。


「相変わらず気持ちいい!」

「寒いよ。ゆかが膝掛け持ってきてシートの上に引いて寝ころんだよね。」

「あれでも純は寒いって言ってたじゃん。」

「僕じゃないよ。トシだよ。僕はちゃんとゆかにお礼言ったから。」


ゆかはそうだっけ?
と首を傾げて笑っていた。


風でなびくゆかの長い髪からいい匂いがする。

シャンプーを変えたみたいだ。

前とは違う匂いが僕の鼻を心地よくさせる。


遠くを見ながら、風を浴びるゆかから目が離せなかった。


綺麗で、風景と重ねると絵になる。


ゆかは本当に綺麗で
誰よりも僕を想ってくれている。

誰よりも僕を理解してくれている。


「ゆか。」

「ん?」


長い髪を耳に掛けながら振り向く。

スローモーションのようにゆっくり僕の目に映る。


「綺麗。」

「景色?」

「違うよ。ゆかが。」


頬を染め、僕から目線を逸らした。