そのさらに数十分後。
椎名さんが半分眠りに落ちつつあったため、このあたりでお開きにすることになった。
前から皆が考えていた作戦は決行するまでもなく、自動的に私が椎名さんを送っていくことに。
園枝さんと水野くんは電車、真琴ちゃんは彼氏が迎えに来てくれるらしく、私の車が停めてあるコインパーキングまで皆でだらだら歩き、そこで解散になった。
「俺はタクシーでいいのに……」
「心配だから送らせてください」
「優しいね、ちづは」
まだ水野くん化している椎名さんに苦笑いしながらも、彼にちづと呼ばれるのは悪い気はしない。
皆に丁寧に挨拶をして助手席に乗り込む椎名さんを横目に、三人が次々と耳打ちしてくる。
「千鶴ちゃん、運転気をつけてね」
「うん、大丈夫です」
「月曜日、どうなったか報告待ってますよ!」
「う、うーん、何もないと思うけどね」
「酔っ払ってる時って勃たないかもしれないけど、一応覚悟しときなよ」
──スパーン!と、水野くんの頭をはたく音が綺麗に夜の街に響いた。
そんな事態になるわけないじゃない、このドエロ!!
おそらく真っ赤になっているだろう顔で車に乗り込んだ私に、椎名さんが眠たげに「どうした?」と問い掛ける。
苦笑いを返しながら車を発進させた私は、おかしなドキドキ感から無駄にアクセルを踏み込んでしまうのだった。



