負け犬も歩けば愛をつかむ。

「今そうしたいと思う彼女はいないの？」



無意識に鼻を押さえる私に、そっとティッシュを差し出しながら園枝さんがナイスな質問をする。



「いたらいいんだけどね」

「いないんだ！？　じゃあいい物件がありますよ、すぐそこに」



椎名さんの返答にすぐさま被せてきた水野くんが、私を顎で示してニヤリと笑う。

……“いい物件”て、私のこと！？


皆の視線が私に向けられ、……中でも椎名さんの視線がとっても気になる。

このお節介ヤロー……！　そんなこと言って、私が椎名さんのこと好きだってバレたらどーすんのよ！！


けれど、この場で怒鳴り散らすことも出来ず。



「な、なーに言ってんの！？　ていうか、人を物件扱いしないでよね！　あははは」



ぎこちなく笑ってごまかした私は、別に食べたいわけでもないのに、残っていた冷めきっているピザを頬張った。

そんな私に、椎名さんの落ち着いた声が投げ掛けられる。