負け犬も歩けば愛をつかむ。


──数十分後。



「あーふわふわすんなー」

「大丈夫ですか? 椎名さん……」



テーブルの上で両腕を組み、頭を垂れて、むにゃむにゃと寝言のように呟く彼に問い掛ける。

どうやら本当にお酒が弱いらしく、さっきの焼酎ロックの一口が効いたようで、完全に酔ってしまったらしい。


……しかし、男前は酔っ払っている姿さえも男前だ。

頭を垂れたまま、流し目を向けるように私を見る彼は妙に色っぽくて、こぼした微笑がまたドキリとさせる。



「大丈夫。今すげー気持ちいいんだ」

「天国は近そうっすね」

「あぁ……もう一口飲んだらイケるぜ、これは」



しかも、意味わかんないけど水野くんとの会話がエロい!

皆ゲラゲラ笑ってるけど……一人ドキドキしている私はおかしいのかしら?

口調もいつもよりちょっぴりワイルドさが増していて、ようやく外見に中身が伴ってきたように思えた。


最初はあまり自分のことを語らない椎名さんだったけれど、酔っ払っている今は皆の質問にもご丁寧に答えてくれる。



「マネージャーって、今までどのくらい女の子と付き合ってきたんですかぁ?」

「んー……五人くらい?」

「やっぱり、一人の人と長く続くタイプなんですね? それで“優しすぎる”とか言われてダメになっちゃうんでしょ」

「……何でわかるんだ」