彼のことをまた一つ知れて、ちょっぴり嬉しく感じていると。



「でも、それより春井さんが可愛いから、自然と世話焼きたくなるんじゃないかな」



そんな、何気ない調子で口にされた言葉が、ハートの形をした矢みたいになって私の胸に突き刺さった。


か、可愛い!?

……いやいやいやいや、直に受け取っちゃダメよ!

彼はきっと深い意味で言ってるわけじゃないんだから!



「わ、私、童顔ですもんね! ははは」

「そういう意味じゃなくて、雰囲気のこと。今日の君もすごく素敵だよ」



ふわりと微笑まれ、そんなストレートに言われたら、茶化してへらへらしていた私も思わず言葉を失ってしまう。

さっきとは違う恥ずかしさで一気に顔に熱が集まり、全然寒くもないのにストールに口元を埋めた。


オシャレしてきてよかったー……!
タグを取り忘れてなければもっとよかったけど!

そう喜びにうちひしがれる私の口からこぼれたのは、照れ隠しでもあり、本音でもある一言。



「私なんかより、椎名さんの方が素敵だけど……」

「ふ、何言ってんの」



まったく真に受けていない様子でおかしそうに言う彼は、私の頭をぽんぽんと撫でた。

だから椎名さん、無自覚に触れないでください!!


もう~……さっきからランニングした後みたいに心臓が激しく動きっぱなし。絶対寿命縮んでる!

でも、それに比例して私の“好き”の気持ちもどんどん増していくんだ。


今の私は、さっきの女の子にも負けないくらい、ビビッドピンクの空気を振り撒いているに違いない。