コンビニを出た私はパープルの愛車に乗り込み、ここから五分のアパートへ向かう。

今日は久々の残業で疲れたけど、素敵な男性にレディーファーストという扱いを受けただけで気分が良くなるなんて、私って単純だ。

というか、これは悲しむべきことなのかしら?



彼氏という存在はここ数年いなく、男友達もいることはいるけどほとんど会う機会はない。

合コンも二十代の頃はたまに誘われて行ったりしていたけれど、もうあの頃のように軽いノリで付き合うことは出来ないし。

歳をとるごとに理想は高くなっていくし、だからといって多少妥協して付き合うとそこがネックになって別れてしまう。


そんなことを続けているうちに、気が付けばアラサーに突入していて。

周りの女友達は皆結婚していくし、親友の子供なんてもう小学生。

なんとかしなきゃ……とは思うけどどうにもならないから、街で出逢うカッコいいイケメンを現実逃避のネタにしてしまったりするわけだ。


……こんな私が、春井 千鶴(ハルイ チヅル)、三十歳。

負け犬街道まっしぐらです。