「あ、す、すみません!」



疲れた顔がバレないようにえへへと笑って会釈すると、彼も笑みを返してくれた。

あぁ素敵……やっぱり大人の色気が漂う男性の方が断然いい!


もうアルバイト店員のイケメン君なんて一瞬でどうでもよくなり、前の人の会計が終わると何も気にせず缶ビールをドンッと置いた。


ピッピッとバーコードをスキャンされる音を聞きながら、チラリと後ろを振り向くと、男前な彼の手に持たれたピンク色のあるものが目に入る。

あれは……“クリームたっぷりいちごミルクプリン……”。

この人が食べるの? ギャップ萌え!!


ニヤけそうになる唇を必死に結んでいると、隣のレジから「お待ちのお客様どうぞー」と声が掛けられた。

後ろの色男さんがそちらに移動するのをなんとなく目で追う。そして、彼がレジの前に立とうとしたその瞬間。



「はいはい、これお願いね!っと」


せかせかとやってきたおばちゃんが、絶妙なタイミングで割り込んだ。

さ、先越された……!?

しょぼーんとうなだれたまま、静かにおばちゃんの後ろに移動する彼の残念な姿に、思わず失笑。

財布で顔を隠しつつ肩を揺らして笑う私を、イケメン店員君は不気味そうに見ていたに違いない。