短い夏が終わり、木枯らしが吹く季節になると身を寄せ合って、いつもよりも温かく感じるクリスマスや年末年始を過ごした。

メルベイユがある通りの樹木も寒々しい装いから再び小さな蕾をつけ、今年も桃色の花を纏っている。


そんな天然のフラワーシャワーを浴びる中、純白のウェディングドレスに身を包む花嫁に、ネイビーのパーティードレス姿の私は物騒な言葉を言い放つ。



「この裏切り者ー!」

「ちょっ!? 何てこと言うんですか千鶴さん!」



神聖な場所で言い合う私と真琴ちゃんを、園枝さんはあっはっはといつものように笑いながら見ている。


そう、今日は真琴ちゃんの結婚式。

お相手は、去年浮気疑惑をかけられていたデザイナーの彼だ。

なんと彼が女の子とメールのやり取りをしていたのは、新しくデザイン事務所を立ち上げるにあたっての付き合いのためだったのだとか。

しかもそれは真琴ちゃんとの将来を見据えてのことだったのだと、後々彼女が聞く耳を持った頃に教えてくれたらしい。

真琴ちゃんもただの勘違いだったんじゃない!と、散々皆でからかったっけ。


それからはとんとん拍子に事が進み、今日この日を迎えた。

もちろん私も嬉しいけれど、羨ましい気持ちがあるのも確か。