アンケートを受け取った専務は、そう言って完璧な笑顔を見せた。

うぅ……さらりと流れるようなダークブラウンの髪が整った小顔を引き立てていて、美し過ぎる!

これだから心臓に悪いのよ……。


専務は出張や会議などの用事がある時以外はスルスを利用してくれている。

このビルの周りには他にも食事処はたくさんあるのに、社食を使ってくれる所も私的には好感度が高い。

しかもこんな労いの言葉まで掛けてくれるんだもの、本当に非の打ち所がないわ。



「これからもどうぞよろしくお願いいたします」

「いえ、こちらこそ」



用件を済ませた私達は、最後は型通りの挨拶をして早々と専務室を後にすることにした。九条さんも待っていることだし。

ドア付近にいた九条さんに会釈をして部屋を出ようとすると、彼女の視線は椎名さんを追っているように見えた。


そう、専務も素敵だけれど、我がマネージャーだって負けてはいない。

物腰も柔らかく、落ち着いた大人の“デキる男オーラ”を漂わせているもの。

だから、一見しただけでは会社に上手く使われている人のようには見えないし、本当にそうなのかな?と疑問に思ってしまう。

まぁ、人は見かけではないとわかってはいるけれど。