負け犬も歩けば愛をつかむ。

ハッキリ宣言されて、沸騰したように顔が熱くなる。

皆はわーきゃー騒いでるし……

もう、もう……とてつもなく恥ずかしいけど、この上なく幸せだ!


照れ隠しで、私はニヤけまくっている三人をしっしっと追い払う。



「とっ……とにかく、皆仕事して仕事!!」

「はいはい。早く二人きりになりたいもんねー」

「そういうわけじゃな……くもないけど、とにかく戻りなさーい!!」



興奮覚めやらぬ様子の三人が厨房へ戻っていくと、休憩コーナーも食堂もガランと静まり返る。

ど、どうしよ……羞恥と緊張で椎名さんの顔が見れない!



「あ、わ、私達も戻りましょうか! 話はまた後で──」



へらへらと締まりがない笑いを浮かべ、ロボットみたいなぎこちない動きで食堂の方へ歩き出そうとすると。

再びグッと手首を掴まれ、身体を反転させられた。

その手を引かれて、食堂からの死角へと数歩移動すると、私の手首を離さずに椎名さんが真剣な瞳で見据える。



「まだ、君の気持ちを聞いてない」



ドキン、と再び大きく心臓が音を立てた。

そういえば、私はまだ何も言ってなかったっけ……。



「そのくらいの時間は許されるだろ。それとも……答えるのに時間掛かる?」

「いえ、そんなの簡単です!」



即答してしまい、みるみる顔が赤くなるのがわかる。