「こんなに脚光を浴びるの初めて……。なんか恥ずかしいんですけど」

「私もよ、真琴ちゃん。でも……結構気持ち良いものね!」

「よーやく俺達のありがたみがわかってくれたか。社長もいいこと言うな」



次第に調子に乗ってきた三人が、照れ笑いを浮かべながらコソコソと言い合う。

その横で、私は感慨深い気持ちと信じられない気持ちが入り混じり、未だにぽかんとしていた。

いつも表に出ない私達が、こんなに注目されていいの?

そんな思いで椎名さんを見上げると、彼はそれに応えるようにふわりと微笑む。



「これは君達のいつもの仕事の成果だ。胸を張っていいんだよ」



私にだけ聞こえるように言ってくれた椎名さん。

その言葉のおかげで、この賛辞を素直に受け止めていいのだと、ようやく自信が持てた私は、「はい」と笑顔で頷いた。



園枝さんと水野くん、真琴ちゃん、そして椎名さん。

皆が協力して、専務が嫌いだと言っていた“仲間意識”のおかげで、ここまでやってこれたんだ。

裏方で地味で、お給料が特別いいわけでもない調理の仕事だけれど、今やっと誇りに思えた気がする。


……でもね、椎名さん。

自分のことは棚に上げて私達の成果だと言ってくれる、あなたのような上司のもとで働けることが、何よりの誇りだと思うんです。

あなたと出逢えて、一緒に仕事が出来て、本当によかった。