スルスのことは、社長の甥であり、三十四歳という若さで専務という重役についている、天羽 薫(アモウ カオル)に一任されている。
この専務がまたカッコイイのなんの。
渋くて男らしい椎名さんとはタイプの違う、美形で中性的な顔の麗しいお方だ。
椎名さんを勇者とするなら、天羽専務は王子様って感じかしら。
いつも笑顔で私にも優しく接してくれるとっても素敵な人で、そんな彼に惚れてしまう女性社員は後を絶たないらしい……けれど。
私には遠~い存在過ぎて、手を伸ばす気すら起きない。
だからかなぁ、会うとドキドキはするけどそれだけで、今以上に近付きたいとか思わないのよね。
見ているだけで満足の、芸能人的な存在なのだ、私にとっては。
専務のもとへ向かうことになった私は、エプロンも外して椎名さんと一緒に休憩室を出た。
専務室は五階にあり、エレベーターに乗ることになるのだけれど、このほんの一瞬の密室ですら緊張してしまう。
片手をポケットに入れて立つ、何気ない姿さえも素敵に見えて……私、ちょっと浮足立ち過ぎてるかも。
暖かい春の陽が差し込む大きな窓から、街の景色を見下ろせる廊下を歩き、突き当たりにあるのが専務室。
そこへ案内して椎名さんがドアをノックすると、中から「どうぞ」と声が返ってきた。
この専務がまたカッコイイのなんの。
渋くて男らしい椎名さんとはタイプの違う、美形で中性的な顔の麗しいお方だ。
椎名さんを勇者とするなら、天羽専務は王子様って感じかしら。
いつも笑顔で私にも優しく接してくれるとっても素敵な人で、そんな彼に惚れてしまう女性社員は後を絶たないらしい……けれど。
私には遠~い存在過ぎて、手を伸ばす気すら起きない。
だからかなぁ、会うとドキドキはするけどそれだけで、今以上に近付きたいとか思わないのよね。
見ているだけで満足の、芸能人的な存在なのだ、私にとっては。
専務のもとへ向かうことになった私は、エプロンも外して椎名さんと一緒に休憩室を出た。
専務室は五階にあり、エレベーターに乗ることになるのだけれど、このほんの一瞬の密室ですら緊張してしまう。
片手をポケットに入れて立つ、何気ない姿さえも素敵に見えて……私、ちょっと浮足立ち過ぎてるかも。
暖かい春の陽が差し込む大きな窓から、街の景色を見下ろせる廊下を歩き、突き当たりにあるのが専務室。
そこへ案内して椎名さんがドアをノックすると、中から「どうぞ」と声が返ってきた。