負け犬も歩けば愛をつかむ。

色々と思案してみるが、自分に不利な想像しか出来ない。

さっきは想いを伝えようと決心したが、俺がそんなことをしても彼女には迷惑なだけじゃないだろうか。

このまま、何事もなかったように接するのが一番いいのかもしれない……。


先程までの勢いは呆気なく萎んでしまい、けれど心の奥底では何もせずにはいたくないという想いもあり、もどかしさが渦巻いている。

恋愛自体が久々なせいか、どうしたらいいのかわからない……格好悪いな、俺。

今、外で二人が何を話しているのかを気にしつつも、何の行動も起こせない自分の不甲斐無さに落胆するのだった。



翌日、出張から戻ってきた我社の専務に記念パーティーの旨を報告した。

案の定、彼は二つ返事で承諾。

『これで成果を収めれば、スルスの評価も格段に上がるからな。ひとつ頑張ってみてくれ』と、あまり現場の苦労を知らない専務は軽い調子で言っていた。



「これからますます大変になるな……」



専務室を出た後、廊下を歩きながらぽつりと呟く。

……が、不思議と心はやる気に満ちていた。

新しいことにチャレンジするのはやりがいがあるからだろうな。


俺は調理師ではないから調理のことは詳しくないが、これまで様々なレストランや食堂を見てきた。その経験を活かしてメニューを考えよう。

妥協はしたくない。

やるからには天羽専務を、パーティーに訪れるすべての人を唸らせるくらいの気持ちで取り組んでやる。