この子の笑顔をずっと見ていたい、とか。一緒にいたらきっとそれだけで幸せなんだろうな、とか。

漠然としたものだが、彼女といると勝手に未来を創造してしまう。

これまで付き合ってきた女性はもちろんどの人も好きだったが、こんなに温かい想いを抱くのは春井さんだけで。

それはどこか初恋にも似たような、純粋で強い愛情のように思えるのだ。


俺の言葉に目の輝きを増した小野は、少し前のめりになってさらに問い掛ける。



「へぇ、なんかいい出逢いがあったのか? もしかして本当に好きな人出来た?」

「秘密」

「なんだよ教えろよ! ケチ!」



少年みたいにいじける小野がおかしくて、俺は歯を見せて笑った。



どうして春井さんなのだろう。

どうして彼女じゃなきゃダメなのだろう。

考えても答えは出ない。これが理屈を超えた愛なのかもしれないし、ただ単に、手に入らないものほど追い掛けたくなる、狩猟本能というやつなのかもしれない。


だがはっきり言えるのは、俺は瞬く間に彼女に恋に落ちてしまったということ。

そして、日に日にその想いは強くなり、今もなお彼女に恋い焦がれて止まないということだ。

──この恋心に、まだ諦めをつけるわけにはいかない。