その椎名さんというマネージャーは、パートさんの頼みも時間さえあれば律儀に聞いてしまうらしいし、どうやら世渡り下手な人のようだ。

まぁ、マネージャーと直に関わることが多い私からすれば、人が良くてやりやすいに越したことはないけどね。


そんな椎名さんのことが気になりつつもいつものように準備をして、十二時からランチを開始。

その三十分前あたりから厨房の中は慌ただしくなり、ランチタイム中は無くなりそうな料理を作ったり運んだりで忙しさのピークを迎える。

社員達の食事が終わった後も、彼らの食器を洗い終えるまで厨房は戦場と化すのだ。


その洗浄を終え、毎日だいたい二時少し前くらいに、私達もやっと休憩に入れる。

八畳ほどの広さで、畳部屋だけれど真っ白な壁紙とアンティーク調のロッカーがうまく融合した和洋室。その休憩室のテレビでワイドショーや何かを見ながら、まかないを食べてまったりするのがお決まりだ。



「うわ、このアイドル二十歳で出来ちゃった婚だって」

「やっちまったなー」

「お相手の男性は同い年のモデル? ふっ、いつまで続くかしらね」



掛け布団を外したこたつテーブルを囲みながら、こんなどーでもいい世間話をしている私達はなんだか家族のよう。

私は皆でだらだらと過ごすこの息抜きのひと時が、結構好きだったりする。