「勘弁してよ~……!」



ここへ来て、なんとか必死に張り詰めさせていた糸が完全に切れてしまった。

どっと疲れが出て身体が辛くなり、ズルズルと床に座り込んだ私はそのまま横たわる。


あぁもう、体調も最悪だし仕事は終わらないし……やりきれなさで涙が溢れてくる。

この歳になると、ちょっとやそっとのことじゃ涙は出なくなるものだけど、今はいとも簡単に流れ出てしまう。



「っふ……しーなさん……」



熱い息とともに、自然とその名前が漏れていた。

今日椎名さんは来なかったから、きっと他の所で忙しくしていたんだろう。


彼を呼んだって来てくれるわけじゃないし、こうなったのは自業自得なんだから、助けてもらいたいと思っているわけでもない。

だけど、今すごく彼に会いたくて、すがりつきたい想いがあるのも正直なところ。


不甲斐ない自分を見られたくない。でも会いたい──。

そんな矛盾した想いがぐるぐる巡って、ついでに目も回っているような感覚を覚える。



「つらいよぉ……椎名さん……」



ぽろぽろとこぼれ落ちる涙で畳を濡らしながら、うわごとのように呟き。

真っ暗闇の中、私は重い瞼をゆっくりと閉じた。