トマトとベーコンのリゾット
春キャベツとサーモンのクリームパスタ
わかめの生姜スープ
鶏ささみのチーズフライ
アスパラの胡麻マヨ和え

あとは毎日用意するサラダバー。


こんな感じのメニューが、私達の会社の本社にいる栄養士によって考えられている。

それに沿ってこちらで材料を発注・管理し、調理をするという流れになっていて、発注業務もチーフである私の仕事。

栄養価よりも料理の内容重視のメニューで、四人でやるにはこのくらいの品数が限度だ。

皆調理もするのだけど、主に作るのは水野くん。

あんなふうにチャラチャラしてるけど彼の腕前は結構なもので、手際はいいし何より美味しいのよね。

実力があるから難関のホテルの調理員だって受かったんだろうに、それをあっさり辞めちゃったなんて本当にもったいない。



そんなことを考えつつ厨房に戻ると、園枝さんと真琴ちゃんはすでに明日のための野菜を切り始めていた。

私もそれに加わろうと、中央の調理台の棚に貼られた献立表をチェックする。

その背中合わせにIH調理機があり、せっせとアスパラを茹でている水野くんに話し掛けた。



「水野くん、今日はいつもより来るの早いね」

「だってフライにパスタだぜ? 作り置き出来ないんだから後で忙しくなるし、その前に他のことやっとかないと。てか、水野くんじゃなくて涼太って呼んでっていつも言ってんのにー」