忙しく日々を過ごしている間に、気付けば七月も半ばに差し掛かり、記念パーティーも二日後に迫っていた。

当日は金曜日で午後六時開始のため、特別にランチの提供は行わなくて良いことになり、朝からずっと準備にあたれる。

前日から用意出来るものは済ませておいて、当日はなるべく慌てずに余裕を持って行動したい。

この日の朝、調理に取り掛かる前に、発注した材料に不備がないかを倉庫で少し確認していると。



「……おはよーございます……」

「ひぃっ!」



突然耳元でものすごく暗く重々しい声が響き、驚いた私は横にある棚に飛びかかった。

誰かと思えば……真琴ちゃん!

ずーんという音がしそうなくらい沈んだ様子の、言うなればオバケみたいな彼女に、戸惑いつつ声を掛ける。



「ど、どうしたの……!?」

「千鶴さぁん……あたし、また捨てられちゃうかも~~!!」

「えぇ!?」



おどろおどろしい様子から一変、子供のようにわーん!と泣き始めた真琴ちゃんに、他二人もどうしたのかと駆け寄ってくる。



「何があったの?」

「か、彼氏が……浮気してるみたいでぇ……!」



……またか。

と、心の中で同じことを思っただろう私達だけど、とりあえず話を聞いてみた。

どうやら最近彼の帰りが遅いことと、携帯を覗いたら女性との電話やメールの履歴がたくさん残っていたことから、浮気を疑っているらしい。