それからは作戦会議の日々だった。

休憩中や仕事が終わった後に皆で話し合い、メニューの候補をとにかくたくさん挙げていく。

その中から調理法や原価、見栄えなどを考慮して、難しいものを排除する消去法でメニューを絞っていくことにした。


近頃は椎名さんも時間を縫ってはよくスルスに来て、一緒に話し合ってくれている。

会う頻度が増えたのは嬉しいけれど、記念パーティーのことでいっぱいいっぱいで、私的な話をする余裕なんてない。

九条さんのこともずっと気になってるんだけどね……。

早くも六月半ばに差し掛かった今日も、まかないを食べながら会議中。



「やっぱ定番のローストビーフは外せないでしょ」

「水野くん作れるの?」

「おいおい、ナメんなよちづ。俺が過去クリスマスに何人の女子に振る舞ってきたと思ってんだ」



何故か威張る水野くんだけど、そこまで自信があるならやってもらおうじゃないの。

すると、すでに定位置となったデスクチェアに足を組んで座り、コーヒーを飲んでいた椎名さんが、何かを思い付いたように口を開く。



「ローストビーフを俺達が切り分けるサービスをしたらどう?」

「私達が……?」

「それいいじゃないですかぁ!」



私がその図を想像しようとする間にも、真琴ちゃんがぱんっと手を叩いて明るい声をあげる。