奥手女子の恋愛事情

第3章

変な嫌がらせが終了した後は何事もなく、

そのまま先輩たちは引退し、今に至る。


あの時、加賀美が言った一言を

まだ覚えてる。

私に勇気をくれた一言。

今でも思い出すと笑顔になれる。


今年も奇跡的に加賀美とは同じクラスだ。

そして嬉しいことに鎌田は別のクラス。


鎌田とは何となくあれから

距離を置くようになった。

女の怖さを思い知ったというか・・。

鎌田に近づきすぎると巻き込み事故に

あうんだと悟ったというか。


学年が上がった今も

相変わらず鎌田はモテる。


部活が同じだからか、色々鎌田のことを

聞かれることもあるが

答えないことにしている。



加賀美は・・相変わらず優しい。


一年という月日は人を成長させるのか、

加賀美はこの1年で

さらに大人っぽくなった気がする。


深い黒い瞳、そしてよく響く低い声が

周りの男子より加賀美を大人に見せる。


そう感じた時、ちょっと加賀見が

遠くの存在になった気がする。



結局、加賀美との関係は一年前と

何も変わっていない。

同じ部活に入ってるクラスメート。


それ以下でもそれ以上でもない。


あと数カ月で、私たちも部活を

引退することになる。


そうしたら加賀見とは、

ただの「クラスメート」になる。


このまま部活を引退して

中学を卒業していくんだろうな・・と

他人事のように思っていた。