「だって、だってさ!棗ちゃん今好きな人がいないみたいだし…」



「だからってオーケーしてるれるとは限らないよ」



「分かってるよ」



今にも泣き出しそうな雫は、さらに続ける。



「でも“まさ君”が好きなヨウなら、この気持ちがわかるでしょ?告白したいの!好きだって言いたいの!」



「だって…雫と棗ちゃんは、女の子同士なんだよ?」



「……ヨウだけは、わかってくれてるっておもってたのに」



突き放すような楊子の言葉に、雫も突き放したように言った。



あきらかに不穏な空気が二人の間に漂い、雫は静かに立ち上がる。



「帰る」



楊子には、それを止めることが出来なかった。



「女の子同士なんて…やっぱりおかしいよ」



部屋で一人になってしまい、途端に涙が込み上げる。



手の甲に、一滴二滴と落ち、伝う。



雫が戻ってくることは、なかった。



幼い少女達には、まだなにも、分からない。






12歳END