「大丈夫ならいいけど」

鈴実は小冬とは対照的な落ちついたトーンで言った。


二人はドリンクバーで飲み物をプラスチックのコップに注ぐ。


席についてから一口それをのんだ。
途端小冬は眉をひそめる。

「どうしたの?」

「……まずい。」

小冬はトニックウォーターを知らなかった。
コップの7割まで注がれたそれをストレートでそのまま飲むものだと思っていた彼女は、想像していたいわゆるメロンソーダやコーラといった清涼飲料水の甘みとは違った、苦みのようなものを感じた。

Γ一口ちょうだい?」

鈴実の言葉に自分のストローのついていないコップを渡した。

「ああ、これトニックウォーターだね。そのまま飲むものありだよ」

ありがとう、と言ってコップが返される。

「トニックウォーター……。」

小冬はジッと目の前のコップを見つめた。

はっきり言っておいしくない。
でもなんとなく。
本当になんとなく、さっきまでの変な味のする炭酸の入ったコップが、魅力的なものに見えてきた。

……オヤジか、私は。


そんなことを思ったら世のオヤジ様に失礼である。



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