Γ今電話いい?」

Γうん。」

いいから電話とったんだよ、とは言わなかった。

Γなにしてたの?」

と、聞かれ特に考えずに、明日着ていく服を選んでいたと正直に答える。

すると小冬の姉は分かりやすく興奮し、まくしたてた。

Γなに?デート?初デート?彼氏?やっちゃう?」

Γ最後変なの混じってなかった!?」

Γいいじゃーん。ね?どんなこ?」

ここで小冬はちょっとしたイタズラ心がこみ上げてきた。

「クールでいつも本読んでるよ。冷たく見える人もいるみたいだけど、ホントは温かくて優しい人。」

姉は電話越しにキャーッと言った。

女の子だけど、と続けようとしたが、それは姉の言葉で遮られた。

「好きなんだ?そのこのこと。」

言われた途端、全身の血液が顔に集まったように、小冬は顔を赤く染めた。

姉はそれを察したのか、はたまた無言を肯定と受け取ったのか、ニヤニヤしているのが空気で感じられた。

Γすき……?」

心の声が漏れる。

「わかった!お姉ちゃんがアドバイスしたげる!私にまっかせんさーい!」