車も人の通りも少ない道路と歩道。

 濃い色と薄い色の、種類が違う桜並木。

 古びた看板。

 色の剥げた手すり。犬のブラック。





 もう何年もそれを見ているはずなのに。
 私はそれら一つ一つ、ちゃんと見るようになった。

 卒業してしまえば仲良い友達はともかく、その他の同級生と連絡をとりあうということは無いだろう。


 私は同級生との良い思い出よりも、寂しく悲しい思い出のほうが多い気がする。
 中学のときから知っている人が多くいるということは、全く見ず知らずの人の中に放り込まれるよりは少しだけマシではあった。けれど、根本的なものはさほどかわりなかった。



 仲良しだと思っていたのは、ただの勘違い。
 一緒にいたのは、ただその人が一人になりたくないからという数会わせ。