…とりあえず、

玲央くんにお見舞いに行く旨を伝えておこう。



教室に戻った私は、スカートのポケットからケータイを取り出した。


タイチくんにはさっき「忘れた」とか言っちゃったけど、実はちゃんとある。

朝、玲央くんにメールして。その返事が来ないか…授業中もこっそりチェックしてたんだから。



「…こんな感じでいいかな?」


『タイチくんから聞いたよ。具合大丈夫?放課後お見舞いに行ってもいいかな?』


昨日のことはあえて書かずに。それは会って直接謝ることにして…

返信が来るかどうかもわかんないからなぁ。…あ。そうだ。


『何か食べたいものとか、ある?』


メールの最後に、私はその一文をつけ足した。


――よし、送信。


たぶん、これで返事は確実だ。


だって…



「おっ。早っ。」


即行で返ってきたメール。

それはもちろん、玲央くんからで…



『りんごジュースと苺のヨーグルト。』


ふふっ。やっぱりね。

玲央くんは、風邪をひくと必ず、この2つを欲しがるんだよね。