聖治さんの運転で豹牙の倉庫に向かう。
校庭には本当に女達がいなかった。
出待ちしているのをゆうさんや先生達が注意したのだろう。
初めて来た豹牙の倉庫。
前いたチームは倉庫を使っていなかったからとても新鮮だった。
倉庫を置けるような大きい土地は少なかったし。
ここら辺は建物が少ないから置けるのかな?
目立つし。
周りは本当に何もなくて見渡せる。
都会にいたあたしにとってはこんなに自然に囲まれるのもわるくないかな?
家からあまり遠くないのにこんな場所があったなんて。
「暴走族がたくさんいるぞー?」
入るか入らないか立ち往生していたあたしを隼人は背中を押して中にいれてくれた。
暴走族にそんな興味ないし!
前そういう環境にいたし!
「残念。 今日は皆走り行っちゃってんね」
久しぶりに声聞いたよ、蓮。
蓮の言葉通り倉庫には誰にもいなかった。
バイクも全然ないし。
「上行くぞ」
輝の言葉と共に再び隼人に連れられ階段を登って行った。
上がってすぐ左にある部屋に皆がぞろぞろ入って行く。
最後にあたしも、隼人に背中を押され入って行った。
「お、お邪魔しまーす・・・」
思った以上に広い部屋。
真ん中に黒く長い大きなテーブル。両はしに3人掛けの黒いソファ。
その間に4人掛け黒いソファ。そのソファとテーブルを挟むように置かれた大きなテレビ。
後は何もない。
人の家に上がるのはあまり慣れていない。
小学校の頃はどうやってお邪魔していた?
・・・・思い出せない。
ううん、体が拒否しているんだ。 悲痛な記憶も呼び覚ましてしまうから。
「蝶愛ちゃんの第二の家になるんだから、気使わないでね?」
葵くんの言葉に安堵のむねをなでおろした。
きっかけはこの瞬間。
事の大きさに気づく余地もなかった。
一息着いたその時・・・・
歯車は回りだした。

