約6年後・・・・―――


「おめぇーやんのかっ!?あぁ??」


路地裏の悪い奴らの溜まり場で毎日のように行われるケンカ。
今日も二人の男の殴り合いが行われる。


理由は本当に些細な事だ。

怖がり、彼等を止めるやつはいない。



バンッ・・・

ドスッ・・・


聞こえてくる鈍い音。




「てめぇーらどけよ」

一人の制服の女の声で一瞬ケンカがおさまった。



「はぁ?? おめぇ口出ししっ、うっ・・・」

急所に拳を入れられ膝を落とす男。



「お、おめぇ・・・なっ何者だよ!?」

もう一人の男は目の前で行われた一瞬のことに怯え、後ずさりした


「通行の邪魔なんだよ。 どけ」


端麗な容姿からは想像できない言葉遣いに行動。
この物語の主人公、工藤 蝶愛だ。


容姿からは想像できないような威圧感にかケンカをしていた二人は一目散に逃げて行く。



「工藤っ!!」

駆け寄って来た親しげな、金髪の男。



「なに?」



さっきのような威圧は一瞬で消えて、普通の少女でしかなくなった蝶愛。


「それ、王城(おうじょう)高校の制服じゃん?!」



9月中旬の今。


王城高校の水色のワイシャツに水色と青のチェックのスカートに、スクバを片手にしていたあたし。

「今日から王城通うの」


笑顔なんて微塵も見せない。


「最近、姿見せないと思ったら・・・。
それにお前旭ヶ丘(アサヒガオカ)は!?一緒に行かぇのかよ!?」



「旭はもうやめたの。

これから王城(オウジョウ)に通うから。

仲良くしてくれてありがとう。じゃーね」



つまらないあたしに、いつも引っ付いて仲良くしてくれたこいつ。
情はあるけど、そんなので戸惑っている場合ではないあたしは歩き出した。



「聞いてねーよ。
つーかなんでだ?
みんなこっちにいるのに・・・」


そう呟いていた事など知らずに。