「今週の土曜、申し訳ないけど迎えいらないから」
「ああ?」
今日は傘下などを集めた集会に幹部の皆が珍しくいない。
葵くん達1人1人に傘下がいてそれぞれでまとめている。 前追いかけてきたバイトの奴らについて話すのだろう。
複雑な気持ちが交差する。 あたしのせいだとしか思えないあの時の奴ら。
どうすれば良いか分からないこそばゆい気持ちに落ち着けない。
だから心の中で何度も謝罪をし罪悪感を和らげようとした。 龍神じゃない事を願いながら。
もし龍神だったら・・・
あたしの顔ばれた?
豹牙にいるってばれた?
マイナスな事しか浮かばない。
「なんでだよ?」
自己嫌悪に陥っていたあたしに輝の言葉が降り注ぐ。
「えっ? ああ!」
一瞬なんの話をしているか分からなかった。
「はぁ?」
「友達と遊びに行くの」
輝の態度にムカつきながら足と腕を組んだ。
「お前友達いんのか?」
「ちょっ失礼な! ちょっとはいるよ!」
「王城来てからお前ずっと俺らといたじゃねーか」
そういう意味かよ。
「まぁ・・・」
茜ちゃんの事を言っても良いのか迷った。 同じ地域だし敵対していたらどうしよう。
「旭か?」
あたしの前の学校・・・。 その学校に友達なんてほんの一握りしかいないよ。
「違う・・・」
込み上げる気持ちを抑え込むように下唇を噛み締めた。
「後で言うから」
「女か?」
「えっ?」
雑誌に視線を落としたままの輝。
「遊ぶ相手」
「・・・女に決まってんじゃん」
「迎えは行くからな。 携帯絶対出ろよ。 強がったら後で容赦しねぇから」
「うん」
口が悪いながらも伝わる輝の優しさが胸に染みる。 あたしを心配してくれる人がいることがすごく嬉しかった。

