あたしに話す暇を与えず隼人はヘルメットを持って倉庫に入って行った。 1分もしないうちに戻ってきて微笑んだ。
「ごめんな! いきなりスピード上げてカーブ繰り返しのすげー好きでさー。 あの爽快感とか本当に最高だから蝶愛に体験してほしくてさ」
「・・・」
呆然と隼人を見つめるあたしの顔の前で開いた手を上下に振る隼人。
「ちーあ!
楽しすぎて言葉にならないとか? それとも怖かった!? すげーくっついてきたもんな。 てっきり俺に触りたかったんだと思ったけどそっちね! 元族のくせに無理なのかー。 今度はやんないから安心しろよ?」
組んでいた右手で頭を撫でられた
「隼人・・・」
「なんだよ?」
「何言ってるの?」
追ってきたやつらをなかった事にしようとしている隼人。
あたしに不安を抱かせないため。 だと思うけれどそんな茶番じみた事やめてよ。 逆に辛くなる。
「ん?」
目を大きこ開き、何を言っているか分かんないように表情をしようとしている隼人。 罪悪感が募る一方だ。
嫌な予感が現実に変わっていく。
「隼人がスピード上げて急カーブ繰り返したのもあたし達を追ってる奴らがいたからでしょ!?
・・・あいつら龍神なんじゃないの?」
なんで隼人がそうだと気づいたかは分からない。
けれどすぐバレるような嘘をついてまでなかった事にしたい理由はそれぐらいしか浮かばない。
・・・あたしの居場所はここじゃない。
居てはいけない場所なんだ。
受け止めざる負えない考えが頭の中を覆った。
さ

