車を降り大きな開いた門を輝と通る。

倉庫の前に一際存在感を出している赤いバイク。
その前には作業着でバイクをいじっているオレンジ色の髪の男。

見上げると顎でそちらを指す輝。 それ見てあたしはバイクに駆け寄った。 あたしの駆け寄った反対側の左に輝は向かった。


「CBX400F?」

振り向きあたしを見上げゆっくり目を見開き、大声を上げ後ろへ反る隼人。

「ばっ! いきなりやめろよ! びっくりするだろ!」

目を見開きながら訴える隼人の姿に笑いをこらえる。


「80年代に流行ったやつだよねー」

隼人の隣に座りバイクを眺める。


「よく知ってんなー!」

龍神先代総長の叉鉤(さかき)も好んでCBXを乗っていた。
赤い車体に白いラインが入ってシンプルな隼人のバイクとは違い紫と黒のいかつくゴツいやつだった。


「先輩から貰ったんだ。見た目もカッコイイし音もすげーいいから気に入ってんだよね」

シートを撫でるように触りながら隼人は楽しそうに言った。

「人気だよね。 関西ではCBX狩りだってあったし」

「そうなんだよ。 だから俺も暗い時以外倉庫から出さないんだ。 社外パーツ多いから改造しやすいしコールもしやすいから乗り回したいんだけどな」


小さい子が親に欲しい物を買って貰えずするような膨れっ面で隼人は呟いた。


見た感じ派手に改造していない所にとても好感を持った。


「かっこいいのにね」

バイクを見つめながらそう呟いた。



「乗る?」

「えっ?」

「ちょっと待ってて!」


何かを言う間も与えてくれないまた、隼人は作業着を脱ぎながら倉庫に入って行った。