中三になった俺達は幹部になって、輝は総長になった。
そんな時に輝は同じクラスになったトーマを幹部に入れた。 輝とトーマが話していた所を見た事がなかった俺にとって輝の行為は驚きだった。
その前日、トーマは学校で暴力事件みたいな喧嘩を起こし、輝はその日早退した。
その時に何かあったのだろう。 無駄な詮索はしたくないから聞かないけれど。
情報網が“豹牙”NO.1だった蓮は一戸の事も簡単に調べてくれた。
『分かったぞ。 一戸 萌』
『どうだった?』
『一戸 萌の家はお父さんがホテルを経営している社長で母親はいない。 後、気になる事は・・・』
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蓮の話を聞いている最中、頭に浮かんだのは数日前に目撃した事だった。
『ねぇ、輝くん! あのっ『うぜぇ』
『えっ・・・・・?』
『なんで毎日俺に話し掛けんの?』
嫌な予感はした。 輝が遠くに行ってしまう、そんな嫌な予感が。
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俺は蓮が調べた事を輝に伝えようと倉庫へ向かった。 汗をかくのがあまり好きじゃない俺だけど、無我夢中で走った。
自分の勘があまり良くない事は知っている。 けれど、不安は消えない。
『おいっ! ひか・・・・・る・・・・・』
見えた輝を呼ぶもつかの間、いるはずのない人の、姿に言葉を失った。
こういう時ばかり勘当たる。 小学校から一緒だった輝。 その容姿から女の子が寄ってくるけれどその性格から皆去って行く。 本人も女の子を興味を持っているようには見えなかった。
だから・・・
『俺達付き合うから』
俺の声に反応し振り向いた輝から注がれた言葉に一瞬呆然とした。 おかしくて笑いそうになった。
・・・大丈夫だって思ったんだけどな。

