「お邪魔しまーす・・・・」
私はそう言い、幹部室に入った。
数回来た幹部室はやはりまだ慣れない。猿の檻にまぎれた狸とでも言うのだろうか。
自分が来ていいのか不安になる。
「おー! ちぃー!!」
「蝶愛ー!! 会いたかったぁー!」
「ふぁぁ・・・・・・」
「いらっしゃい。 そんな事言わなくていいのに。
飲み物取ってくるね」
「ありがとう・・・」
葵くんは私の後から来た輝と入れ違いで幹部室を出た。
葵くんは優しいなぁ・・・。
その反面、トーマのテンションに戸惑う。
信用すると言ってくれたけれど、こんなに潔く信用してくれるものなの?
こんなに変われるものなの?
素直すぎないかな?
トーマを傷つけた人と同じ“女"だから、トーマに対して申し訳ない気持ちがある。
他のチームにいた時、女が男に襲われたり傷つけられた話を沢山聞いた。その度にそいつらを潰した。
だから、男が女に襲われた話を聞いて驚いた。 弱肉強食のこの世界、男も女も関係ないんだなぁと思わされた。
「おい、お前はここだろ?」
“お前"とはあたしの事らしく、真ん中のソファに座り雑誌を読みながら輝は左手で自分の隣を指す。
「だね」
怒りっぽい輝を相手にするのは面倒だから、最近は笑顔で言う事を聞くようにしている。
コイツの声を聞いちゃうと反論する気にもならない。
同じチームなのになんでこんな皆違うんだろう・・・・。
・・・どこのチームもそうなんだね。

