話した事は何回かあるが、仲がいいわけではなかった。
『その前に殴ってやった』
ついムキになる俺は、まだまだ餓鬼だ。
『なんかされたんだろ?』
靴を履き替え終えた俺を待っていたのか、輝は傘立てから腰を上げた。
『・・・・・・・・・・』
その通りだったから何も言えなかった・・・。
周りの奴らはそう思ったか?
あの二人の事だ、『いきなり殴りかかってきた』とか『ちょっとぶつかってしまったら殴られた』とか言って皆あいつらに同情し、俺を見る目が変わるだろう。
なのにこいつは気づいてくれた。
何もかもを見透かされてる気がしてならなかったが、嬉しさが込み上げた。
でも、言えない。かっこ悪い。絶対引かれる・・・。
『やられっぱなしで悔しくない?』
胸に刺さる言葉ばっか言ってくる奴だな。
『悔しいに決まってんじゃん!!!』

