「よいしょ」

まず新谷さんが出る。

「さぁ」

「よっ」

新谷さんに引き上げて貰って、私と里乃も穴から出れた。

「ここは、どこなんですか?」

そんなに長い距離は歩いてないよね。

「鶴屋の奥の八木邸の裏にある壬生寺だよ」

「あの、新選組の頓所の?」

「ああ。さっ、行くよ」

「あ、はい」

ゆっくりしてる隙はない。追っ手がいつ来るかわかんないんだもんね。
けど、確かに、加賀さんが付いてきた男たちを片付けてくれたのか、今んところ終われてる気配は無くなってる。