「…やっぱ良くねーな」
うろたえているあたしをそう言って龍翔はソファーから立ち上がり抱きしめてきた。
なぜか、それだけで少しだけ不安が落ち着いてくるような気がした。
咲哉君の時と同じで。
なぜか、あたしはこんな奴に___咲哉君と同じ感情を覚えてしまった。
そして、抱きしめられている腕に力が籠められる。
少し苦しいぐらいに。
それでも、今のあたしにはとても安心できる行為だった。
そして___。
「ちょっとわりーな」
そのまま、かすかな痛みと共に視界がなぜか揺らぐ。
ぼんやりとしていく意識の中で、不敵に笑う龍翔の姿を最後に見た気がした。