「ちょっとぉー?痛いんだけど?」
あたしの腕をつかんでいる…爽やかくんに向かって言う。
あたしより背が高いからもちろん上目使い。
「ねぇ?何でこんなことしてるの?」
……は?
こいつは、あたしの手を離さずに意外なことを聞いてきた。
何でいきなりあんたなんかに言われなきゃいけないのよ。
「えぇ?何のことぉ?」
本当にふざけないで。
「ちゃんと答えて?今、そこの…男たちと何しようとしてたの?」
あくまで優しい口調の爽やかくん。
でも、目が笑ってない。
怖い。
チビの屋上での視線、咲哉君の視線、そしてこいつの視線。
こいつらは…あたしに冷たい視線しか送らない。
そして、その視線があたしを追い込んでいることには気づいてない。
クラスメイトの男たちに助けを求めようと後ろを向くが…。
…うそ。
……いない。
まさか、逃げられた。
……あたしの相手、誰がしてくれるのよ。
今心配するのはそんなこと。
そんなことを考えないとまた泣いてしまいそうだった。
イヤ…。
壊れた心が更に粉々になりそうだったから。
今まで少しずつ壊れてきた心。
チビによって壊された心。
咲哉君によって壊された心。
自分の発言によって壊れた心。
もう、これ以上壊れたら修復不可能。


