その時の莉々香の顔が忘れられない。
泣きそうなのに、笑っている顔。
いつも笑っていた莉々香。
俺は、あの時、莉々香の笑顔は全て偽物だとやっと気づかされた。
綺麗な顔なのに、歪んだ顔。
とても儚くて…消えてしまいそうだった。
そして、莉々香は泣きながら語る。
莉々香…。
俺は、そんな莉々香を抱きしめることも何もできなかった。
俺は、やっと分かった。
莉々香を助けるのは俺じゃないって。
莉々香から遠ざけてた…聖龍の奴らなら必ず莉々香を助けるって。
俺では、ダメなんだ。
莉々香にあんなことを言わせてしまった俺では。
あいつらなら、絶対そんなことは無い。
莉々香が「死ねばいいの?」なんて言う事はない。
あんな笑顔…二度と作らなくていい。
あんな綺麗な泣き顔なんて、笑った顔なんて必要ない。
涙が光っていつも以上に綺麗で、可愛くて、可憐で…。
俺は、どうしようもない思いをもてあまし、地面に座り込んんだ。
「……クソッ。何で…俺に…好きなんて言うんだよ…。何で…俺は…。」
俺の叫びは…この大きな空に吸い込まれていった。
咲哉side end*