あたしの腕をそっと外して、あたしから距離をとる。






「さ、くや……くん?」





……え?





あたし……何かした?





「何…で?」





咲哉君の顔は、さっきみたいに笑っていない。





チビと同じ、冷たい顔。






冷たい目。





あたしを拒絶する視線。






「莉々香…そうやって人を簡単に好きだなんて言うな」






咲哉君?





「何で…?あたし、咲哉君の事、好きだよ…?」






いつものように、笑おうとする。





でも、笑えない。





顔が引きつるのが自分でも分かる。





「だから、そういうのはやめろ」





咲哉君?





「何で…?何でみんなそうやってあたしから離れていくの?」






もう、限界だった。






今まで隠してきた思いが涙とともにあふれる。










咲哉君も?

あたし…冗談で好きなんて言ってない!

初めてだった!

初めて一緒にいるだけで満たされたの!!

今までは抱きしめてもらっても、愛してるって言われても、ヤッても、寂しかった。

ただ、空しいだけだった!

なのに…何で?

何で咲哉君もあたしを拒絶するの?

何であたしはいつも一人ぼっちなの?

何で…?

あたしは誰なの?何で誰も愛してくれないの?

何であたしは莉々香なの?

なんで誰もあたしを本当に必要としてくれないの?

あたしは…あたしは、どうすればいいの?どうすれば幸せになれるの?

あたしは…一生幸せになれないの?

それとも……誰にとってもあたしはいらない子?


                           」






この言葉を吐いたら、あたしは自分を本当に失う気がした。





でも、止められなかった。





咲哉君の歪められた顔を見ながら言う。




いつもの笑顔で笑いながら。





泣きながら、今までで一番うまく笑えた気がした。