「ここはこれに代入。んで、さっき求めた数式と連立させて……」








こみあげてくる欠伸をかみ殺して、教壇に立っている咲哉くんから窓へと視線を移す。もうすっかり夏日和だ。めっちゃ暑い。










まだ窓を全開にしているのでクーラーは入っていない。








風で髪はぐちゃぐちゃになるし、少し日差しも当って日焼けが心配だけど……まぁ日焼け止めもちゃんと塗ってるし、これで焼けたら焼けただ。











……いつになったらクーラー入れていいんだろう。なんて思いながらも、また欠伸をかみ殺す。









視界の隅にさっきから映り込む赤髪は、咲哉くんの授業に関わらずずっと伏せている。









いつもは騒ぎはしないが殆ど寝ている不良たちも、咲哉くんの授業はしっかり起きて……いや、それどころか目をらんらんと輝かせて必死にノートを取っている。









異常だ。進学校でさえこんな必死に授業を受けている生徒はいないんじゃないだろうか。しかも頭がカラフルな不良たち、がだ。










世の中ってわかんないなぁ。










と今度こそふわぁとかみ殺せなかった欠伸が漏れた。