下を向きながら歩いていると……。
「え!?櫻井…莉々って、うわぁーーーーーー!」
前から大きな声が聞こえた。
…?
咄嗟に顔を上げると……。
……視界が一瞬白で埋まった。
え?
でもその白は直ぐに床に落ちていく。
何かの資料を大量にばらまいている_______昨日の、背の小さい子がいた。
……げ。
一瞬焦った。
大量のプリントが廊下に落ちて、慌てて拾い集めてる。
ちょこまかと動いていて忙しそうだ。
どうすればいいか分からず、一歩下がるけど…。
あたしの足元まで飛んできたプリントを踏んでしまって。
「キャっ」
ずるっとこけそうになった。
その途端、しゃがみこんでいたやつの顔が、ゆっくりと上がる。
「……そうだ、櫻井莉々香。」
何かを思い出したように口に出された、あたしの…名前。
目があったまま、どうしていいかわからず立ちすくむ。
すると、その時フワっと、またあたしの足元にプリントが飛んできた。
……何のプリント?
何かの印刷らしきプリント。
それと、踏んでしまったプリントを拾い上げる。
「-----ッ!それに、触るなよ!!」
……。
そこまで怒鳴られるとは。
まぁ、いいや。
本当にすっごい嫌われてるな。
自虐的に笑いながらも、そのプリントを手に持ちそいつのもとへ。
そして、あたしもしゃがみ込む。
「……はい。大丈夫だから。プリントの内容は見てない。」
そして、またニコって笑ってプリントをグッと押し付け立ち上がった。
「……何、笑ってんだよ。」
そんなことを聞いて来るが、あたしは無視をして歩き始めた。
「待てよ…。待ってっつってんだろ!!」
姿に似合わないような声を出すチビ。
それでも、あたしは無視。