頭に感じるのは熱い龍翔の手で。











は!?








混乱していると、ぐっと手を引かれた。











中腰だったあたしは抵抗なんてできないままベッドの上に乗り上げて。












唇は合わさったまま、龍翔の上に寝転がるような姿勢になってしまった。












思いっきり目を開く。











するとうっすらと目を開けている龍翔と目が合った。










目が少しだけ細められる。















「んーーーっ」













そして龍翔が少しだけ笑ったように目じりを下げた途端、あたしの頭を押さえていた手の力がふと抜けた。











慌てて龍翔の唇から逃れる。











び、びっくりした……。












「ちょっと!」











人の親切心を踏みにじるようなことをした龍翔に何か言ってやろうと口を開いた。










だけど……。












「スー…スー……」













龍翔はさっきの唸りが嘘のように、穏やかな寝息を立てていて。









向ける場所がなくなった軽い怒りを打ち消すように、軽く笑った。










…………寝顔はちゃんと高校生らしくあどけないじゃん。













肘を立て、龍翔の上からどけようとする。












でも……。









「………らしくないね」













龍翔の手がしっかりとあたしの制服をつかんでいた。











軽く引っ張っても取れない。











もうなんだか龍翔がかわいく見えてしまって。










くすくす笑いながら、広いベッドの龍翔の隣に寝転んだ。











龍翔に手をつかまれている部分の制服にさらにしわが寄った気がした。









………こんな厳つい格好して、整いすぎている容姿を持っていて。











少し前まで龍翔に抱いていた嫌悪感や不信感がほとんど今のあたしには薄れてしまていた。












こんな辛いなら諷都くんにでも誰かにでも助け求めなさいよ。











…………死ぬところだったじゃん。











40℃なんて動くだけでも困難だろう。