さっきの秘書の真っ赤な顔を思い出して、自然に笑みがこぼれた。
あいつ、絶対あたしが遊んでること知ってそうだし、あの人は知ってるかわかんないけどバラされたらめんどくさいことになるから色々良かった。
或斗に流されたあたしの男との写真とか、絶対知ってるもん。
そして少しだけあがった気分で、家に入ろうとすると……。
「随分仲のよろしそうなことで?」
忘れていた存在を思い出さされた。
あのくそ秘書のせいで、忘れていたコンビニ事件。
上がっていた気分も急降下。
……どうしようか、と思い急いで玄関のドアを開けるものの、閉めることは長い足がねじりこまれたことで許されず。
そーっと足の持ち主の顔色を窺うと、秘書たちよちも恐ろしい笑みを顔に張り付けていた。
「……あら、ご機嫌はどうです?龍翔くん。昨日ぶりだねぇ」
絶対に笑えてないであろう顔だけど、それでも何とか腕に力を込めながら顔を作る。
「先ほどの男、何だ?」
「今日もいい天気ですこと。外で遊んで来たらどうです?」
「てめぇ、ふざけんなよ?」
龍翔の低い声に一瞬ひるむ。
その隙を突かれて、手まで押し込まれてきた。
ぐーっと力を入れて閉じようとするけど、男の力なんかに適うわけなく。
扉は開いてしまっていった。
うわ、うわ、どうしよ。
このままじゃすぐに捕まる、と思ってとっさに力を緩めてしまった。
「うおっ!」
すると、扉が勢いよく開き、龍翔がなだれ込んできた。
あたしもうおっ!って思って、とっさに家の中へと駆け込む。
そのまま階段を駆け上がり、自分の部屋へ。
そして鍵をかけほっと一息。
……できるはずもなく。
すぐ後にはどんどんどんどんと、ドアを叩かれまくっていた。
このままじゃヤバイ。
でも散らかってるこの部屋でできることは……何もない。
………いちよう、散らかりまくっているものはベッドの下に押し込んだ。
「おい、開けろって」
「開けねぇんならドアぐらい簡単に蹴破るぞ」
いや、本当にやりそうだから怖いわ。
ドア壊れたなんてそれこそ秘書に報告じゃん。
あの冷酷やろうが来ちゃうじゃん。
龍翔と秘書、どちらが怖いか考えると……冷たすぎる笑みに怒りをしっかりと浮かべた秘書で。
「……わかった」
あたしは折れるしかないのだ。
でも怒ってる龍翔も怖いのには変わりない。
……ってあれ?
あたし、何も怒らすようなことしてなくない?
しかしそのことに気付いたのは鍵を開けた後で。
勢いよく龍翔が部屋に入ってきた。
うーわっ。
……スンゴイ怖い。
あたしは一歩一歩後ろに下がる。
そして龍翔はあたしとは違う長い足で一歩一歩近づいてくる。
そのまま下がり続けると、後ろはベッドで行き止まりになってしまっていて。
すとんと、自然に腰を下ろしてしまった。
龍翔はそんなあたしをみてニヒルに笑う。


