~D*A doll~








ぴっちりとスーツを着こなして、黒髪もちゃんとセットして。






胡散臭い笑みを浮かべている父親の秘書。







あたしが電話を折り返してこないから、さっそく人をよこしたのだろう。






いつものことだけど、あたしはあの人の秘書たちが大っ嫌いだ。





あたしのことを知っている秘書は多分二人。








今来たこいつと、たぶんもっと偉いもう一人。







まだこいつは若いし、なんとなく雰囲気はまだやわらかいけど、もう一人はもう金属並みの硬さだ。






笑みが怖い。







重い足を引きずって玄関へ行こう…とするけれど、慌ててリビングを片づけた。








ってか、散らかっているものをすべてすぐ隣の部屋へ押し込んで、香水はやばいから運よく視界に入った消臭スプレーをすべて使った。







うん、きれい。







匂いはうっすらと残っているものの、全力で片づけた結果いつも通りのリビングに。








そして時間がたっているので、急いで玄関へと駈け出した。







チェーンを外して、カギを開けて、ガチャリと扉を開く。







そこには相変わらずの社長秘書。





にっこりとほほ笑んで、お久しぶりですと声をかける。








「今日は、突然申し訳ありません」







「いえいえ、全然大丈夫ですよ。先ほどまで学校に行ってたので、帰ってきたばっかりですが」







「あぁ、その学校の件も少しお話がありますので」








「わざわざすみません」








にこにこにこにこと、お互いあふれんばかりの笑顔。





さっきの男たちなんて、あたしの笑顔みるだけで顔を緩めたのに。








少しは見惚れろよ、なんて思うけど相手は大人だ。







しかも腹黒い。






「玄関でもあれですし、中へどうぞ」






「そんなお気を使わずに」






こんな時ってなんていうんだっけ。







……あぁ。








「どうぞ、おもてなしも何もできませんが」







家政婦に叩き込まれた礼儀を存分に発揮する。






何が楽しくて、社会での生き方を使わないといけないんだろう。






きっぱりとなら入るな!と言いたいけど、そんなこと言うわけにはいかない。







「では、失礼します」






がちゃん、と扉が閉まった。







秘書にスリッパを渡して、リビングへと案内する。






すると案の定見定めるようにリビングをゆっくりと見回したこいつ。






だろうと思った。







匂いも大丈夫だし、見た目も大丈夫。






そのままソファーに通す。






そしてあたしはお茶の用意。






……コンビニで買ったお茶でいいか。






リビングから見えないところで、適当な客用のカップにお茶を注ぐ。





ダイエットに効くかな、と思って緑茶買っといてよかった。






冷蔵庫にはないもない。







そしてもう一度笑顔を張り付けてお茶を出す。






……もう話なんていいから帰ってくれないかな。







今日、死ぬほど疲れたのに。







……明日も学校休もう。





って、明日土曜か。